大学は‥‥プロデューサーだから経済学部とか経営学部とかって感じるすけど、芸術学部とかかな?
ってことは、日大とか桐朋学園とか?
本当のことを言います。
どこでもいいんです。
学部も関係ありません。
大学名も関係ありません、もっというと学歴関係ありません。
強いて言えば、いい大学を出ていれば、高い切符を買ってもらえるような、偉くなってる同級生がいるかもしれない程度です。
その友人には「いつまでも、馬鹿なことやってないで、真面目に仕事しろよ」
とか言われながら買ってもらうんですけど‥
そして一番貴重で重要な情報は、演劇プロデューサー業界は、常に人が足りないという事です。
私が業界に入った、1977年当時、演劇スタッフはどの分野も人手不足、特に制作者がいないのは、大きな問題だ。
そう言われてましたが、それは20205年も全く、変わりません。
大きな問題が続いています。
制作者・プロデューサー業界は慢性的に人手不足です。
それなのに、簡単に制作者やプロデューサーになる事はできません。
不思議な世界だと思うでしょうが、その不思議を含めて全てお話しいたします。
ザ・演劇プロデューサーのなり方

ザ・プロデューサーのイメージ
はっきり言います、こんな人いません。
ってか、みんな消えました。
基本事項、演劇プロデューサーと演劇制作者の違い
演劇プロデューサーという名称ですが、数年前はだいたい、演劇制作者という名称が普通でした。
プロデューサーというと、映画やテレビ方面の人たちのことで、演劇の場合は大抵が「制作者」と呼ばれていたり、自分たちでもそう呼んでおりました。
それが少し変化してきたのが、1980年代のバブル期に「ショービジネス」とか「アート・マネージメント」とかいう言葉や大学のカリキュラムにも、そのような講座が登場して「演劇プロデューサー」という言葉が姿を表し始めました。
私なりに区別をするとすれば、演劇プロデューサーとは、米国型の制作者で、演劇作品(ショー)の企画者であり最高責任者です。
企画者とは、最初に企みを考える人。
もっと簡単に言うと「言い出しっぺ」ってことです。
日常生活でも、みんなで集まって、どこそこの店で飲み会をやろう!
そう言い出して、店の予約や会費集めや、メニュー決めや、挨拶の指名とか、締めの挨拶とかそんなことをやる人がいると思いますが、演劇プロデューサーも基本的には同じです。
演劇プロデューサーは上演作品を決め、新作だったら劇作家に台本を頼み、キャスト、スタッフを集め、上演を可能にするあらゆる準備、資金調達から劇場、稽古場、大道具、小道具、衣装、などの準備、ポスター・チラシや宣伝広報、チケット営業、全国巡演など全てを取り仕切り、その作品のオーナーとして、芸術内容を含め、全ての最終判断と責任を負う存在です。
そういう意味で私が演劇界で関わった人脈で、純粋にプロデューサーと呼べるのは、木山事務所の木山潔氏、名取事務所の名取敏行氏、劇団四季の浅利慶太氏、シス・カンパニーに北村明子氏、ビレッジ、劇団☆新感線の細川展裕氏あたりでしょうか。
彼らのリスクマネージメントが、具体的にどのようになっているか、詳細はわかりませんが、儲かればそれでいいのですが、万が一興行が失敗した場合、その全責任を取ると思われます。
家、土地、財産すっからかんの世界で、中には億に近い借金を抱えた人もいます。
次に演劇制作者は?
主に劇団の制作部に所属し、演劇プロデューサーが作品や演出家、俳優もゼロから決めていくのとは異なり、劇団が決めた作品を演出家、俳優が創作部門を担当し、制作者はその外側の営業と総務的な仕事をしていきます。
具体的には、チケット販売、営業、ポスター・チラシ作成と配布、全国公演の営業、劇場予約、公演予算管理、助成金などの申請、その他、集団の創造理念に基づきながら、一切の事務的な仕事を処理していきます。
万が一興行が失敗しても、集団全体で責任を取るので、制作者はすっからかんにはなりません。
世の中的には、劇団の制作者でもプロデューサーと呼んだり、自分が全ての責任を持つプロデューサーを制作者と呼んだりしますが、ここでは、上記のような認識で、演劇プロデューサーと演劇制作者についてお話をしたいと思います。
どうやって演劇制作者、演劇プロデューサーになるのか?
私のブログの中に「演劇プロデューサーの年収と種類」という記事があります。
そこにプロデューサーの種類を書きましたが、一部抜粋し、抜粋文書の下に具体的になる方法、あるいは実際になっている人がどのようになったのかを、書いていきます。
大手制作会社の制作者
東宝・松竹、歌舞伎座のような大手資本の制作会社の社員で、プロデューサーとして仕事をする人です。
このクラスになると、ほとんど一般企業と変わらず、大学3年生を対象にした、社員募集が行われます。
大学3年の就職期に、ホームページで募集案内が出ます。
書類審査、作文(これは何か舞台の企画書のようものの事が多いです)が通過した後、面接になります。
あるいは、書類審査で1次審査をして、2次に作文審査がある場合もあります。
いずれにせよ、最終面談まではネットでのやり取りですが、詳細は毎年変わるのでその都度、チェックが必要です。
その他、即戦力として経験者を募集する事があります。
実は昔に比べ、この経験者募集が目立つようになりました。
経験者とは劇団の制作部にいた人や、フリーでの制作経験者、などです。
どこもそうですが、全くの新人をゼロから教育して、4年、5年ほどかかってようやく半人前になる‥手前で辞めてしまわれたり、試験をして選んだのに、残念ながら制作者には向いていない素養の人だったりと、リスクが多く、昨今の会社の経済状況から見ても、そうそう時間をかけて育てていくことの難しさがあり、経験者募集が多くなったと思われます。
重要な視点
そうは言っても、業界そのものが人手不足です。
そう簡単に経験者は応募しても来ませんし、欲しいと思うような経験者は、どこの劇団や制作会社でも重要なポジションに付いている人が多く、なかなか引き抜くこともできません。
思うほど、いい経験者は集まらないのが実情です。
私が新国立劇場で制作者を補充したいと思った時にも、いい人材は大抵、どこかの劇団に所属していて、そこで主力として仕事をしていました。
経験ありと応募して来た人も「学生時代制作してました」とか「アマチュア劇団で役者やってます」とか‥ちょっと残念な人ばかりでした。
実際に入ってきた人材は元俳優マネージャーだったり舞台監督助手だったり、業界で数年間、制作助手のアルバイトをしている人でした。
この手の大手制作会社を希望するなら、遠回りのようでもどこかの制作部のアルバイトをするか、ある程度観客動員がある演劇集団(劇団・制作会社)で経験してからという道もあります。
但し、その集団を辞めて大きな会社に行く時に「裏切り者」呼ばわりは覚悟してください。
新劇団の制作者
俳優座・文学座・民藝、青年座、青年劇場、前進座、などの新劇団の制作部に所属して、仕事をしている制作者と呼ばれる人です。
※新劇団は「日本劇団協議会」のホームページや「日本新劇制作者協会」のホームページを参照してみてください。
各劇団、募集の有無は、現在、制作部で働いている人の状況によります。
例えば、だいぶ高齢になって、数年のうちに退団する予定の制作者がいる。
あるいは何かの事情で、近々、退職をする制作者がいる。
残念だが、重い病気になってしばらく働けない制作者がいる。
事業を拡大するのに人材が足りないから、探している。
このような理由で、人を探しているタイミングと、あなたの仕事をしたいタイミングが合えば、ということです。
というのも、劇団に必要な制作者はその劇団によりますが、3人とか5人とか、多ければ10人とかいますが、現時点では1人で1.5人分くらいの仕事をしながら、仕事をこなしている状況だけど、残念ながら経済的に人員を増やせる経済状態ではないので、しばらくは人材募集の予定はない。
人材不足と言いながら、人を増やせる余裕がないのと、制作者はその人に特化した仕事が多くて、単に人数が増えても、仕事が回せるのに新人の場合は2、3年はかかり、その余裕がないという事実がります。
但し、いつ人材不足になるかは分からない、その時の人材不足の状況、ベテランの補充が必要なのか、長期の全国ツアーに付いていける若い人材が必要なのか、ケースバイケースで発生します。

どのような劇団があるのか、ホームページ
を見ればわかる。
重要な視点
ここで現在、仕事をしている制作者達は、学生時代に劇団公演の受付や場内整理、大道具、小道具の搬出搬入のアルバイトをしていて、卒業のタイミングでたまたま、劇団の若手に欠員が出て、劇団の主任制作者から誘われて入った制作者。
或いは付属の俳優養成所から上部研究機関の研究科に進んだが、もう一つ伸び悩んでいる時に、たまたま劇団の制作部に若手の欠員ができた。
劇団の雰囲気もわかっているし、何よりスタッフ向きの性格と劇団の運営部が考え、本人と話したところ、本人も承諾し、制作部員となって、現在は幹部になっている制作者。
都内有名私立大学在学中、劇団の演劇作品を学園祭に招聘。
劇団の製作者と一緒に、学内講堂での上演をプロデュース、卒業後、たまたま欠員が出た劇団に請われて入団した制作者。
それまで全くの無関係だった人より、なんらかの関係がある人が劇団の制作者になるケースが多いです。
制作者には人間的な温厚さや、ある種の優しさ、それなりの品性が必要で、そういう人材を制作部は優先的に探していく傾向があります。
したがって、公募した面接試験で初めて出会って決める人より、人となりをわかっている人を選ぶ方が、安心できるという事があります。
制作者としてのスタートが切れるかどうかは、現在、タイミングが大きな要素を占めていると思われます。
小劇場のプロデューサー
「劇団新幹線」「大人計画など」「イキウメ」「柿喰う客」「サブイボ群舞・アマヤドリ」「燐光郡」
「東京サンシャインボーイズ」「大人計画」「扉座」「チームNACS」など、演出家や劇作家、あるいは数人の俳優が中心となって、オリジナル作品を中心に活動する劇団にもプロデューサーはいます。
この集団は一般には小劇場と呼ばれていますが、実際には大規模な興行を打つ集団も多くあります。
ここのプロデューサーになるには、正直、定まった道がありません。
というのは、この集団の成立が、劇作家、演出家、または数人俳優が中心となった、同志的集まりだったアマチュア劇団が、そのまま発展してプロの集団になっていったのもなので、集団としての組織的な発展より、作品の評価が先にあり、その後、組織が徐々に形成されていった経緯があります。
ですから、集団の創立時からいた制作を担当するメンバーが、1人で制作の仕事をこなし、劇団の俳優が補助員になって、劇団を運営をしている事がほとんどです。
この制作者はほとんど無給か、お小遣い程度のお金を貰うかどうかから始まります。
そういう意味では、既成の小劇場のプロデューサーになる道は、残念ながら限りなくハードルが高いです。
そうは言っても、そこから大劇団に発展し、現在では数千万円の給与を稼ぐプロデューサーもいます。
初めの方に書いたプロデューサーの定義に当てはまる、シス・カンパニー北村明子氏、劇団☆新感線の細川展裕氏などは、自らの手で、この小集団を発展させて来たプロデューサーです。
コケたらおジャンの道ですが、成功すれば日本有数の大プロデューサーになれます。
公演規模が大きくなった集団や制作会社は、現在、制作スタッフを募集する時もありますので、全く可能性がないわけではありません。
どうしても入りたい小劇団があって、無給でも構わないと思うか、これから徐々に成長して行きそうな劇団で、自分が惚れ込む才能があれば、履歴書を持って飛び込む世界です。
重要な視点
小劇団は玉石混同の状況ですが、自分でプロデュースする劇団を作ろうと考えた場合、兎にも角にも、才能のある「劇作家」「演出家」「俳優」を見つけて、その才能と劇団を作ることをお勧めします。
しかし、才能と言っても果たしてその知り合いなり友人に才能があるのか、分からないと思います。
プロデューサーが見抜く才能とは、あなた自身がその作家なり、演出家、俳優を面白いと思って、惚れ込むことです。
その才能があなたと共に育って行くことが、あなたの劇団とあなた自身が成長していく道です。
シスカンパニーの北村明子氏と野田秀樹氏、劇団☆新感線の細川展裕氏と鴻上尚史氏たちは若い頃一緒に劇団をプロデューサーと作家、演出家として組んで、お互いが成長していった人たちです。
但し、劇団が軌道に乗るまでは、プロデューサーと言えども無給状態が続きます。
1年なのか3年なのか、5年なのか‥その間はアルバイトを続けて生活することになります。
制作会社のプロデューサー
ここ数年出てきた、演劇制作会社、シス・カンパニー、劇団☆新感線の制作を行うビレッジなどが代表的な例で、エグゼクティブ・プロデューサーの元で興行を行っています。
演劇制作会社はそれぞれに特徴があり、一般論でお話しするのが難しいのですが、シスカンパニーにしろ、ビレッジにせよ、公演規模は2万人、3万人を動員する大規模公演ですが、会社自体は意外と小さく、数人で運営しています。
シスカンパニーの場合は、別事業に俳優のマネージメントがありますので、俳優のマネージャーはたくさんいますが、制作者は社長の北村明子氏だけで、あとは切符係と広報係、そして制作助手がひとりいる程度です。
細川展裕氏が劇団☆新感線をマネージメント(プロデュースを含む)する会社、ビレッジは氏が社長で、劇団☆新感線のエグゼクティブ・プロデューサーとして公演に関わっています。
細川氏は劇団第三舞台を鴻上尚史氏と立ち上げ、観客動員の増大とともに、劇団を企業化し発展させていった人です。
ビレッジも劇団☆新感線の公演スケールに比べると、小さな集団です。
この二人の仕事は、それまでの劇場(劇団)が主体のヨーロッパ型の制作者とは異なり、ブロードウェイのショービジネスに近い公演形態をしております。
プロデューサーが最高責任者として興行を行い、利潤をプロデューサーが分配するスタイルです。
この他、これに近い形態の制作会社には、公演規模は上の二団体に比べ小規模ですが、名取事務所やトム・プロジェクトなど、非常に良質な舞台を制作している会社などがあり、それぞれ制作会社の社長が公演のエグゼクティブ・プロデューサーを勤めております。
重要な視点
制作会社のプロデューサーは、基本的には1人であとは助手的な人が数人いる程度です。
それで、舞台制作を実行し成功させている状況から見て、制作スタッフが不足しているとは考えにくいですが、あなたがそのプロデューサーに弟子入りするつもりで門を叩くのであれば、その門が開かれることを応援しております。
公共劇場のプロデューサー
まだ日本ではそれほど数が多くありませんが、自主制作を行なっている公共劇場にはプロデューサーがいます。
具体的には新国立劇場、世田谷パブリックシアター、東京芸術劇場、彩の国さいたま芸術劇場場、
KAAT神奈川芸術劇場、松本芸術館、水戸芸術館、ひょうご舞台芸術センターなど
特徴的なのが、それぞれの劇場に芸術部門の責任を負う、芸術監督がいます。
設立当初、設置者である国や県の職員だけでは管理運営ができず、民間との共同で行うという発想から、芸術監督制度が導入されました。

これはヨーロッパ型、ドイツ、フランス、あたりのスタイルの導入ですが、かなり日本的にアレンジされています。
芸術監督が演目を決定し、劇場のプロデューサーがそれを実行するというスタンスで、公演が行われています。
新国立劇場のプロデューサーも劇場設立当初、設置者の文部科学省の人間だけではその任務ができず、広く民間から登用されました。
現在、新国立劇場に在籍する幹部プロデューサー達は、その時代の若手の人たちです。
毎年定期的に新人募集を行なっていますが、部署を定めずの募集のため、新国立劇場は入職しても経理部門や研修部門、総務部門や営業部門など制作部以外に配属される可能性があります。
技術部と制作部に関しては、入職してきた新人を舞台技術関係の職に就けるにせよ、三部門ある(オペラ・舞踊・演劇)のどこかの制作部に配属するにせよ、不定期の人事異動で3年から5年で移動する為、なかなか専門的な人材が育成できず、数年前より不定期に人事異動の対象外として、中途採用の舞台技術系の職員を募集した。
但し、劇場の人員のバランスを見ての募集のため、不定期にならざるを得ないのが現状です。
他の自主制作を行なっている公共劇場も芸術監督を擁して、演目を決定しているところが多くあります。苦労する実態があります。
重要な点
公共劇場の役割はそれぞれの劇場によって、さまざまなミッションがありますが、第一に納税者である国民、市民に対する公共サービスとして、広く社会的な問題提起や市民生活の滑液になるような作品の制作があります。
時として経済性より、作品の持つ社会的な意義や芸術的な価値を優先することが重要です。
しかし、残念ながら、国や政治関係の人の中には、経済性を最優先し、儲かっていないなら存在意味がないと発言する人もいるようです。
我が国の文化的な水準の低さを、痛感することが多い職場ではあります。
この状況を劇場から、政治から、行政から変えていく人材の出現を切に願っております。
中島豊
※下はちょっと宣伝です、カッコつけてたプロデューサー時代のアタッシェケースです。
これにMacBookと予算書、電卓、名刺、などを入れ颯爽と歩いたもんです。
重いのと、ちょっと油断するとガバッと開いて、中身がみんな落ちるんですが、
頑張って、その不便さを楽しんでました。

と思われます。
ちょっと高いですが、マネージャーや海外のプロデューサーなんかも
チラッと見て「あっ、リモワだ」と思って、少し動揺しているのがわかりました。
「これ勝ちます」
一生モノで、今でも使っています。
頑丈なんで、中古で十分です
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