俳優になって出演するには、演劇プロデューサーのキャスティング

今回は、門外不出、プロデューサーはどのようにキャスティングをしているのか?
その秘密の作業をお話しいたします。

俳優のタイプ・殿様型、武士型、農民型・お姫様型、娼婦型、女中型

プロデューサーがキャスティング作業をする準備として、日本タレント名鑑各劇団や俳優プロダクション、あるいは過去に行ったオーディションなどの応募資料の俳優のプロフィール、時には映像資料を元に、次のようなタイプに分類していました。

男優ならば
『殿様型(王子様)』=天皇とか御公家様、高貴な役柄が似合いそうなタイプ
『武士型(アウトロー)』=逞しい武士や、渡世人、兵士、ニヒルな役ができそうなタイプ
『農民型』=見た目も面白く、役柄としては三枚目がこなせるタイプ

女優ならば
『お姫様型(清楚・美女)』=清楚で慎ましいヒロインタイプ、美人女優
『娼婦型(色気のある人』=花魁や愛人、娼婦など、色気のある役が似合いそうなタイプ
『女中型』=農民や女中の役柄が合いそうなタイプ、三枚目ができる女優

具体的な俳優名(例)

男優
『殿様型』の男優例(二枚目)
木村拓哉 西島秀俊 斎藤工 菅田将暉 小栗旬 水谷豊 坂口健太郎 西沢亮 西田敏行 竹中直人賀来賢人 阿部寛 など

『武士型』の男優例(敵役)
浅野忠信 香川照之 岡田准一 佐野史郎 高嶋政伸 大泉洋 山田孝之 賀来賢人 西田敏行
竹中直人 古田新太 賀来賢人 阿部寛 など

『農民型』の男優例
ムロツヨシ 佐藤二朗 生瀬勝久 阿部サダヲ 荒川良々 柄本時生 温水洋一 西田敏行 竹中直人 若林正恭(オードリー) など

勿論、これ以外にも大勢の俳優がいますし、実際の私のMacとフランクリン・プランナーに、極秘資料として、述べ700人ほどの男優がタイプ別に記載されています。

女優
『お姫様型』の女優
永野芽郁 川口春奈 新垣結衣 石原さとみ 広瀬すず 広瀬アリス 有村架純 綾瀬はるか 
仲間由紀恵 大竹しのぶ 市原悦子 橋本環奈 今田美桜 見上愛 など

『娼婦型』の女優(色気のある)
北川景子 吉高由里子 多部未華子 深田恭子 沢尻エリカ 満島ひかり 栗山千明 木村文乃 宮澤りえ 綾瀬はるか 菜々緒 仲間由紀恵 夏木マリ 大竹しのぶ 市原悦子など

『女中型』の女優(コメディエンヌ)
 キムラ緑子 渡辺えり もたいまさこ 片桐はいり 樹木希林 市原悦子 綾瀬はるか 仲間由紀恵大竹しのぶ 市原悦子 趣里 杉咲花など

女優もやはり極秘資料として、Macとフランクリン・プランナーの中に700人くらい入っています。

キャスティング資料が、すべてでは無い

 何れ劣らぬ名優たちばかりですが、この分類はあくまでキャスティング作業の為の作業データです。

 実際には『殿様』より『武士』や『娼婦型』より『お姫様型』の方が合っている様な場合もあありますし、20代、30代、40代と、年齢によって、タイプが変わっていく場合もあります。

 『殿様』も『武士』も場合によっては『百姓』だって出来てしまうような、例えば西田敏行とか竹中直人のような俳優や、若い頃の市原悦子や大竹しのぶ、あるいは吉高由里子綾瀬はるかのような『お姫様』も『娼婦』も『女中』もできてしまう、重複するオールマイティな俳優もいます。

若手でも賀来賢人阿部寛など幅広いタイプの役をこなせています。

この『俳優タイプ表』はあくまでキャスティングする際の、資料として手元の置いておいておき、演出家や作家と打ち合わせをしていました。

なるべく、タイプが重ならないように、野球で言うと「ホームラン・バッター」ばかりを揃えても、試合には勝てないように、作品を支えるキャスティングの妙、面白さを考えるための資料でした。

タイプ別から、実際の配役プランへの発展

プロデューサーはこの表をじっくりと眺めながら適材適所を考えつつ、あえてタイプを裏切れないか? ということも考えます。

例えば温水洋一や柄本時生、ムロツヨシという、いわゆる三枚目俳優が渋い二枚目の役を演じたらどうだろうか?

温水洋一の「織田信長」は考えられるだろうか?柄本時生の「博徒」は可能か?
ムロツヨシの「スナイパー」はどうだろう?
あるいはオードリーの若林正恭に「爆弾魔」とか「殺人犯」ができないだろうか?

そうなったらどな作品になるだろう?

本人もコメディ的な演技を一切封じ、怖い信長ニヒルな殺し屋を演じてもらえたら、新しい「織田信長」像や「殺し屋」「スナイパー」像が生まれるのでは?

 女優も見上愛の「阿部定」杉咲花の「詐欺師」などと想像を巡らしながら、Macとフランクリン・プランナーのページを作っていきます。
 これがいわゆる、プロデュサーのネタ帳です。

タイプを裏切り、可能性を広げた成功例

 実は、多くの俳優が、デビュー当時のイメージと異なった役柄で成功しているこが多くあります。

 例えば水谷豊は若い頃ショーケンこと萩原健一と共演した「傷だらけの天使」というテレビ番組で「アキラ」という街のチンピラ役を演じ、飄々とした現代の若者を見事に表現したと、大評判になりました。

 そして、あっという間に、都会に生息する根なし草のような若者の代表は水谷豊というイメージが固まってきた頃、「熱中時代」というテレビの作品で『熱血先生』を演じ『チンピラのアキラ』のイメージを180度払拭しました。

そして現在では「相棒」という、超人気作品の重厚な主役で活躍しています。

同じように、最近亡くなった西田敏行なども、3枚目としてデビューしたのち、将軍の役や、コワモテのヤクザ、そして本来の3枚目として「釣りバカ日誌」など多彩でした。

バリバリの二枚目の阿部寛が「トリック」で、コメディタッチの大学教授の役柄でブレイクしました。

同じく、単なるお嬢様女優と思われていた、仲間由紀恵が「トリック」や「ごくせん」というドラマで、美人なのに3枚目ができる女優としてブレイクしました。

そのいくつかの成功例が、柄本明や強面の演技をした時の西田敏行、北野たけし、高嶋政伸、三浦友和

女優でいえば、菜々緒、小沢真珠、尾野真千子、キムラ緑子あたりでしょうか。

 プロデューサーと俳優、そして俳優事務所は常に、既成の俳優イメージを壊すことに挑戦し、新しい魅力や役柄を広げる事に挑戦しています。

もちろん、失敗も数多くありますが、観客が喜んで作品が成功した時、俳優とマネージャー、演出家、プロデューサーの皆んなが思わず、ガッツポーズする瞬間は、芸術創造の幸せの瞬間です。

新人俳優への一言、デビューの場合はしっかりタイプを見極めて

 もちろん、新人がデビューして行くには自分の俳優としての個性、容姿や声をよく認識し自分の一番出て行きやすい分野、ここでいう『殿様型』か『武士型』か、或いは『農民型』かなどを考慮してデビューを狙うのが早道です。

まだ、実力のない俳優が、タイプが違う線を目指しても、ハードルはとても高いです。

例えば、温水洋一が若い頃、木村拓哉を目指しても難しいですし、逆に木村拓哉が温水洋一を目指しても、ハードルはとても高いです。

ですから、若いうちは自分のタイプをよく認識し、そのタイプの目指すべき俳優を、それも一流の俳優を見つけ、徹底的に研究することが大事です。

戯曲なり、シナリオなりを手に入れて読み込んで、自分のタイプに合った役を見つけて、自分なりの役を作り上げてください。

そして、実際の映像や舞台を見て、自分の目指すタイプの俳優の演技を見てください。

自分の方がいいと思えたら、もっと、もっと上の俳優の演技を研究してください、

やがて力をつけてその領域を徐々に広げ、そのタイプの俳優の分野でのトップを目指してください。

それが確立されれば、そこから違うタイプに広げていくことも可能性が高くなっていきます。

それが、本来の職人としての俳優の進む方向だと思っています。

俳優の仕事はゴールがありません。
死ぬ瞬間まで、高いレベルを目指してください。

20204年12月 

中島豊

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